みんなと出会ってから約2ヶ月がたった。
だんだんと寒くなってきていた。
いつもの帰り道にいきなりひろくんが言い出した。
「今週の日曜日に、やろうって言ってなかなかやれなかったこの学校にひよ吉が転校してきたお祝いをぱーっとやっちゃいますか?」
「賛成~♪」
「もちろん、いつも通り集まる場所はヒロんちね!」
ちぃちゃんと須田くんは小学4年生からの仲でその後ふたりとヒロくんは中学の時に出会ってそれからずっと仲が良かったみたいだ。
そして誰かの誕生日があるたびにヒロくんの家でお祝いしてきたみたい。
ヒロくんは一見すごくチャラそうだけど実はここの村で一番の大地主でいっちゃえばお坊ちゃんらしい。
「全然そんな風には見えないけどな。」
いつも、みんなはそう言う。
うちもはじめて聞いたときはすごく驚いた。
見てみたいな。ヒロくんの家。
でも、、、、。3人の仲にはかなわない気がする。よそ者が入ってはいけない気がする。
「わかった。じゃあ黒井さんに連絡しとくよ。美味しいケーキをよろしくって。」
黒井さんはヒロの家のお手伝いさんだ。
え?どうしよう。勝手に話が進んでいく。
「あ、そういえば。楽しみすぎて勝手に盛り上がっちゃったけど、ぴーちゃんの予定は大丈夫?」
やっと私に気付いてくれた。
「えっと、いいのかな?うちのために、、。」
「ひよ吉、そーじゃないでしょ。要はひよ吉が俺らと遊びたいか、それとも遊びたくないかだろ?俺らはひよ吉のことが少なくともこの3人は気に入って大好きになったからもっと仲良くなりたくてこんなに盛り上がってるんだよ。」
うちと、もっと仲良く?って今言ったよね?
聞き間違えなんかじゃないよね?
すびっ。
やばい、なんか泣きそう。
「え?待ってぴーちゃん泣いてるの?」
「ごめん、ないてない、、、ずびっ、、よ。」
「泣いてるじゃん。許すまじ、ばかゆず!うちの大事な大事なぴーちゃんを、泣かすなんて。」
ちぃちゃんが私に抱きついて頭をポンポンとする。
「え?ごめん。泣かせるつもりはな
かったんだけど。」
須田くんがあせあせする。
「ホント、ゆづはいつも恥ずかしいこと言うときはいつも言葉がきつくなるんだから。気を付けろよ。」
「ほんとにちがくて。須田くんが怖かった訳じゃなくて、、、ずびっ。」
ひっくっ。
「ひよ吉ゆっくりでいいよ。ほんで?」
グスッ。
この人たちは私の話を嫌がらずにうっとおしがったり、引かずにちゃんと聞いてくれるんだ。
鼻の奥がつーんっとする。
「嬉しかったの。うん。すっごっく嬉しかったの。須田くんの言葉がすごく。3人がうちに気を使ってるんじゃないかと思ってたから、、、。うちもみんな大好き。一緒にもっと遊びたい。」
「うん。これからもっといっぱい楽しいことしような。だから、自分の気持ちをはっきり言うんだぞ。俺らに遠慮とか要らないから。特にひろなんか一番遠慮要らないから。」
「ん?おいゆづさん?軽く俺ディスられててやしませんかい?」
「え?そんなことないぞ。なぁちぃ?」
「ぴーーーちゃーーんーー。そんなこと思ってたん?もうほんま自分でもびっくりするぐらいこの2ヶ月でぴーちゃんのこと大好きになってたんやで。」
「おーい、ちぃ俺のことは無視ですか~?」
「うん、やっとわかった。ちぃちゃん、ありがとう。」
「あれ?まさかのまさかひよ吉まで俺のこと無視すんのかーい。」
「まぁまぁ諦めろって、俺が相手してやるよ」
ひろくんが須田くんの肩をぽんぽんと叩く。
ぷっ。くふ。あはははは。
さっきまで涙が止まらなかったはずなのに今度は笑いが止まらなくなって。
もう、泣いてるのか笑ってるのかよくわかんない感じになった。
「まったく泣くか笑うかのどっちかにしろよな。」
「ひよ吉の泣き虫ー。」
須田くんがほっぺを引っ張ってくる。
「しゅだくん。いひゃいよ。」
ぷっ。
「へんな顔。」
横からちいちゃんに、ぎゅーってされる。
その反対から頭をひろくんがぽんぽんしてる。
「ぴーちゃん。正直に言うとね、何でこの時期に引っ越してきたんだろう。とかすごく思ってたけど前聞いたとき話をそらそうとしてるのすごくわかったし。あんまり聞いちゃいけないんだなって思ったんだ。ぴーちゃんの過去が気にならないって言ったら嘘になるけど、、、、。」
「俺らは今のぴーちゃんと一緒にいる。今のぴーちゃんが何を好きで、どんな映画が好きかとか、たくさん話してたくさんの事を知ってると思ってる。うぬぼれてるのかな?」
「うんう、そんなことない。」
「ありがとう。ひよ吉。俺らはひよ吉が話したくなったときに話してくれればいいと思ってる。それがずーっと先の事でも。待ってるつもりだから。ひよ吉?そろそろ俺らの事を心の底から信じて欲しい。」
はじめて思う。
うち、
もう一度だけ、
あと、一度だけなら、
皆なら信じられるような気がする。
それ以上にうちの心が信じたいって言っている気がする。
ただ信じたい、、、、、、。
でもこの時はまだはっきりと言葉に出して「信じる。」とはどうしても言えなかった。
ただ
「ありがとう。」
こう伝えることしかうちには出来なかった。
皆はどうしていきなり来て過去の事を話したがらないうちの事を信じられるのだろう、、、、。
「おう。」
笑って優しく答えてくれた。
でもなんだか顔は笑っていても悲しそうに見えて。
胸がきゅーっと締め付けられた。
私が弱いせいでまた誰かを傷つけてるのかもしれない。
変わりたい。

