どこかのだれかの物語

「じゃあひろ、女の子嫌いなの?」


「ば、ばか、嫌いなわけねーじゃねーか。」


今度はちぃちゃんが

「やっぱ好きなんじゃん。それを女好きっていうんだよ。わかってる?」


「う、、、、。」


「いぇ~い」

二人が勝利を確認したようにハイタッチをする。


この人たちの絡みを見てるとほんとに面白い。




今日は始業式で午前授業だったから早く帰れるみたいだ。


終業のチャイムがなるとみんないっせいにわーわー騒ぎながら帰り始めた。

よし、私も帰ろう。


家にはおばあちゃんとおじいちゃんが待っている。


今日のご飯はなにかな?


おばあちゃんの料理は何でもおいしい。

おじいちゃんが作っている取れ立て野菜をふんだんに使った栄養満点料理だ。


想像するだけでお腹が減ってくる。


「ぴーちゃん、にこにこしてなに考えとるん?」

ちぃちゃんだ。


「え?今うちにこにこしとった?」

「うん、ばりばりかわいい顔でにこにこしとった。」


な、かわいいって口癖なのかなここの人は


かわいいなんて、今ままで生きてきたなかでお父さんの会社の人からしか言われたことない。

しかも私のことなんてまったく見もせずに、、、。


だから、お世辞や本気じゃないってわかってたとしても困ってしまう。

「かわいいだなんて、うちにはおこがましいよ。」

こんなこと言ったら本気で言ってないのになんだこいつジョークも伝わらんのかい。って思われたかな、、、、。


「なに言うてるん!かわいいってかわいい子に言わなかったらいつ言うん?」


当たり前って顔してまっすぐに見つめてくる。

うっ、そんなにきれいな顔して見つめられたら照れてしまうよ。


「なるほど、ぴーちゃんは自分の魅力に気づいてないのね。」


フムフムって何かをつぶやいた。

「ん?ごめん、何て言った?」

「いや、何でもないよ。ねぇ、ぴーちゃんの家ってどこらへん?」

どこら辺って言われても、、、


「んーと、田んぼらへん?」


「、、、、、。」


ぶっ!



後ろで誰かが吹き出す音が聞こえた。


「田んぼらへんって!!」

ひぃーひぃー。

笑いすぎて息がおかしくなってる。


「ここら辺じゃ田んぼが近くにない家の方がすくねーよ。」


確かに。


説明ベタがばれて少し恥ずかしくなる。


「ゆづ、笑いすぎ。じゃあ近くにお店とかは?」


お店なんてないけど、、、、、。


「榊原さんって人の家に近いよ。って言われてもわからないかな。」


『あーー、榊原さんね。』


二人の声が重なる。

分かるんだ、、、。


「ここら辺の人はみんな顔見知りだからね。ほんとにいい所だよ。ここは。」


ヒロくんも入ってくる。

「待って、榊原さんの家の近くって事はみんな帰り道一緒じゃん。」

目をキラキラさせながらちぃちゃんが言う。


「じゃあ、これから一緒に帰ろうよ。」

「え?いいの?」


『もちろん。』


3人の声が揃う。


ほんとに仲良しだなぁ。


クスッ。

「ありがとう。」


それから帰りはみんなと一緒に帰って。

お弁当も一緒に食べて。

一緒に行動するようになった。

しあわせすぎて、不安になる。



うちはこんなに幸せでいいのかな?


これからみんなに今までみたいに嫌われることはないのかな?


嫌われたら今度こそ立ち直れるか心配だ。


もう、逃げる場所は無い。


上手くやらなきゃ、、、、。