ラブレッスン

ゆっくりと煙を吐き出してから話しかけられた。





『なんで何も言わないんですか?
しおりの事すぐにでも返してって言われると思ってました。』





「タバコ吸い終わってからでいいわよ。

ゆっくり吸いたいでしょう?」





今朝はすぐにでもそうするつもりだった。





けど、今はそんな元気もない。





予想以上にショックだったのね。
部長のお世辞が、本当にお世辞だったって知って、落ち込んでるんだ。





そう思うとフッと小さく笑いが零れてしまう。





好きか嫌いかと聞かれたら好きな部類の人だった。




私の見た目も気にせず、皆と同じく平等に接してくれて。




優しく笑いかけてくれるのも相田部長位だったから。




なんとなく、相田部長なら





“勝手に噂するもんじゃないよ”





そう噂する人たちをたしなめてくれる側だと思い込んでいた