ラブレッスン

屋上はどんよりした雲が覆ってるせいか蒸し暑かった。





入り口から死角になる場所へ腰を降ろして、私にも座るように促す。





少しだけ間を取ってハンカチの上に座ってお弁当を手渡した。






『由宇さん、部長とは会う時間とれてますか?』






結城歩にとって、私の事は意識してないとわかる質問に答えに詰まってしまう。





私は会わないように避けて、今だって意識して間を取って座っているのに。






「今は無理よ。知ってるでしょう?新プロジェクトの企画で忙しいって。

毎朝、顔合わせてるだけよ。」






努めて今までと同じように接するように返事をして、お弁当を食べる。






『そう、ですか。』







そのまま何も言わなくなったのが気になった。





何を考えてるの?






下手に声をかけてボロがでたら困るわよね。






今までの私だったらきっと何も聞き返さないと思う。






私もそのまま何も言わずにお弁当を食べていた。