何よ。女がタバコ吸うのはいけないって思ってたの?

自分も吸うくせに。





気持ちを落ち着けるのに必要だったのに。





仕方なく渡された飴玉をひとつ口の中に放り込む。





甘酸っぱい味が唾液腺を刺激して、耳の下辺りがキュウッとしたけれど、徐々に馴れてきて、甘さだけが口の中に広がる。





飴の糖分がゆっくりと体に染み渡ってしく感じだわ。






ニコチンなんかよりも落ち着くのかも知れないわね。





結城歩もこの飴と同じくらい甘い男だったら…、私にも少しくらい望みはあったのかしら。






そんな事を思った自分に嫌気がさした。






私には付き合い始めた相田部長がいるっていうのに。





何考えてるのかしらね…。






気付きたくなかったわ。






心の中に結城歩がどっかりと居座ってたなんて…





……気付きたくなかったわ。