ラブレッスン

カツカツ…とヒールの音を鳴らせて沢木さんが立ち去ろうとする足音が聞こえてきた。





『待って。ひとつ言っておきたいことがあったんだ。』





呼び止める結城歩の次の言葉を聞くために立ち止まったのがわかる。





『俺にフラれた腹いせで由宇さんを困らせるような事してみろよ?

そんな事あったら俺、君に何するかわかんないよ?

由宇さんの何倍もの苦しみ味あわせるから、肝に銘じといて。』






『ーッ!!』






バタンッ!!






激しくドアを閉める音が聞こえてきて、静かになった屋上。






『由宇さん?終わったから出てきても平気ですよ?』





冷たい声も元に戻って私の前へやって来る結城歩を、直視なんて到底出来るわけもなかった。