「な!ダメか?」
でも、こういうときの佐田君は経験上絶対引き下がらない。
丁度駅ビルで服買いたかったし、まぁいいかな?
「じゃあお言葉に甘えてごちそうになります」
「おーけー!お互い買い物もあるし、さっそく行こうぜ!」
机の上の書類をかきあつめ、机でトントンとそろえる佐田君。
私もパソコンをシャットダウンさせ、その間に鞄に荷物をつめる。
久々に私達は定時の鐘と同時に退社することができたんだ。
駅ビルは私達の会社から徒歩10分。
洋服も雑貨もレストランも、お洒落なものがたくさんあって、会社帰りや週末によく来ているんだ。
そのビルの11階のイタリアンレストラン。
「えっ?1時間待ち?」
「申し訳ありません」
入り口でウェイトレスさんは頭を下げると、予約の名前を書くボードを指した。
「団体様の予約がありまして。1時間後なら予約できますが、どうなさいますか?」
「うーん。今から他の店探すと時間かかっちゃうしな」
佐田君はしばらく考え込んで
「姫川、買い物してから飯でもいいか?」
新たなプランを提案してくれた。

