アフター7の婚約者サマ!?








午後6時50分。

パソコンのキーボードを叩く音だけが響く部署内。


隣の席で黙々とキーボードを叩いていた佐田君だったが、「よし」と呟いて大袈裟にエンターキーを押した。

画面には、メール送信完了と表示が現れる。


「やったー!終わったー!」


佐田君が叫びながらガッツポーズをした。


「おめでとう!定時10分前だよ!」

「姫川が手伝ってくれたおかげだよ!ほんとにありがとな!」

「気にしなくていいよ!いつも助けてもらってるもん!」


仕事が終わった達成感に、会話が興奮気味になる。


「いやいや!せめて晩飯くらい奢らせてよ。今日はほんとに助かったからさ!」

「いいのに。私買い物もしなくちゃならないし」

「じゃあ、駅ビルのイタリアンでいいから!すぐ済むから!」


佐田君は一歩も譲らない。

晩御飯奢ってもらうほどのことなんて何もしてないのに。

駅ビルのイタリアン、地味に高いし!