ずっとずっと聞けなかった連絡先。
そうしなきゃならない事情ができたとしても、まさか八王子さんの方から聞いてくれるなんて……。
「俺が番号言うからかけて。そうすればラインも入るだろ」
「はい」
八王子さんがしゃべる数字を画面に載せていく。
指が震えて、何も考えられない。
私が指を離すと、八王子さんのスマホからロックテイストな音楽が流れてきた。
「さんきゅ、登録しとくな」
そう言って画面に映し出された私の番号を見せてくれる。
「じゃあおやすみ」
走り出したタクシーの窓から、八王子さんが小さく片手を上げるのが見えた。
スマホの画面に残る、登録されていない番号。
どうしよう……
すごくすごくうれしい。
タクシーを見送りながら、スマホを胸に抱きしめた。

