「じゃあ私はこれで。おやすみなさい…」
財布からお札を取り出し八王子さんに差し出す。
けれど、八王子さんは受け取ってくれない。
「あの…お金…」
不安に思って口を開くと、八王子さんは目を閉じて、小さくため息をついた。
「婚約者に金を払わすわけないだろ。つーか部下でも同じだ」
「でも…」
「そういうのは素直に甘える方可愛いと思うけど?」
八王子さんはいたずらっぽくクスリと笑った。
「……っ」
こう言われると、もう差し出すわけにはいかない。
「ありがとうございます」
「いいよ、でも代わりに…」
そう言いながら、八王子さんはポケットからスマホを取り出した。
「連絡先教えて?知ってた方便利だろ」
「……っ!」
まさかの出来事だった。

