「友達が、おまえのこと紹介しろってうるさいんだ」
「それって昨日一緒にいた…?」
「そうだ。あいつらには毎週水曜日に会うから、そのときに紹介しようと思ってな」
「はい……」
八王子さんの友達…。私より年上そうだし、緊張するな。
「心配しなくても俺がちゃんとフォローする。おまえはそこにいてくれるだけでいいから」
「……わかりました」
「悪いけど、頼むな」
八王子さんの漆黒の瞳に訴えられて、私は頷いた。
婚約者だから……というのももちろんある。
けど、八王子さんにはいつもいつも、今日だって助けられてる。
上司としても尊敬してるし、何より……大好きな人。
私だって八王子さんの力になりたい。
だから、頑張らなきゃ……!
膝の上で握ったグーに力をこめて気合を入れる。
間もなくして、タクシーが私のアパートの前に止まった。

