窓の外に夜の街が流れていく。
そういえば。
八王子さんとタクシー乗るの、二日連続だ…
なんか不思議な感じ…
「悠里」
「は、はい…っ」
急に名前を呼ばれて、声が裏返ってしまう。
八王子さんは窓枠に肘をついたまま、私を見下ろした。
悠里って呼ばれるのは二回目。
けれど、やっぱり落ち着かない。
グーにした両手を太ももに置いて縮こまりながら、八王子さんの返事を待つ。
「来週の水曜日の夜空いてるか?」
「はい…」
「じゃあ…飲みに行くぞ」
「えっ?」
「婚約者としての初仕事だ」
”婚約者”という単語に心臓がドクンと跳ねる。
は、初仕事って…?

