私の背中を軽く押すと、八王子さんは歩き出す。
「え…?八王子さん!?」
びっくりして、テーブルと八王子さんを交互に見つめた。
けど、八王子さんは一切振り返らずに、入口へ歩いていく。
「課長が先帰っていいってさ。あんなことがあったんだ。まだ落ち着かないだろ」
そう、淡々と説明しながら。
本当は、八王子さんが課長に打診してくれたんだと思う。
ありがとうございます、八王子さん…。
前を歩く背中を見上げながら、さりげない優しさに感謝した。
八王子さんはすぐに、タクシーを頼む電話をかけ始める。
「昨日の場所でいいんだろ?」
「はい…」
「じゃあ俺と行先同じだから一緒に乗っていくんでいいか?」
「はい、ありがとうございます」
しばらくして、タクシーが到着して、私達は一緒に乗り込んだ。

