歩き出そうとすると、急にふらついてバランスを崩す。
とっさに八王子さんの腕を掴んでしまった。
あ、あれ………?
足がうまく動かない……
「すみませんっ」
慌てて腕から手を離すと、その手をギュッと掴まれた。
「……無理すんな。震えてるだろ」
八王子さんにつられて視線を落とす。
八王子さんの手の下、重なる私の手は震えていた。
いつの間に………。
佐田君を助けなきゃ、という思いが先走って、恐怖を忘れていたんだ。
八王子さん……
私より先に気づいてくれたんだ。
「ありがとう……ございます」
おそるおそるお礼を言うと、八王子さんはふっと息を吐いて、目を閉じる。
「まったく……おまえは無茶しすぎだろ。
殴られるってわかってて、飛び込んでいくなんて」
「すみません。佐田君が危ないと思ったらつい……」
「あいつは男だ。殴らせときゃいいだろ」

