………っ
「んぁ……!?」
男の人が間抜けな声を上げる。
一向に拳が振り下ろされることはなかった。
「何やってるんだよ」
聞き覚えのある、怒り口調の低い声。
この声って……!
おそるおそる目を開ける。
「……八王子さん!!」
男の人の背後。
振り上げられた腕を高い位置で掴む、八王子さんの姿。
「て、てめえ…!誰だ!」
焦ったように男の人が叫ぶ。
「……この男の上司です」
八王子さんはゆっくりと、男の手を下に降ろした。
そして
「うちの部下が無礼なことをしたみたいで申し訳ありません。あとはこちらで指導しておきますので、どうかお下がりいただけないでしょうか」
丁寧に言って、頭を下げる。

