アフター7の婚約者サマ!?



空のピッチャーを手に席を立つ。


「姫川……!待って!」


厨房に向かう廊下に出ると、ふいに後ろから手を掴まれて振り返った。


「………佐田君?」


何も言わずに私の手首をつかんだままの佐田君。

さっきまでの、冗談言って笑っていた彼とは別人みたいな、思いつめた表情。

どうしたんだろう……?


「姫川………」


「なに?」


「…………っ」


言葉を押し込めるように唇を咬むと、佐田君は私の手を動かして、自分の腕に掴ませた。


「佐田君……?」


まるで、私が佐田君を取り押さえているみたいな恰好。

なんで私に自分を取り押さえさせて……


「……昨日、俺こんな風に姫川に止められてなかった?

勘違いだったら悪いんだけど」


「………っ」


背を向けたまま、伏し目がちに言う佐田君にドキッとした。

疑ってるんだ、佐田君は。

私や八王子さんが上手く誤魔化したところで、事実は変わらない。

昨日の光景を彼は覚えていて、それでいて、私達の行動を不審に思っている。

いったいどう答えたら……