アフター7の婚約者サマ!?



それからは終始笑ってばかりだった。

昨日一緒に飲んだばっかりなのに、佐田君の面白い話は尽きない。

おかげで、同じ空間にいる八王子さんのことも考えずに済んだ。


「ほらほら姫川もっと飲みなー」


佐田君がテーブルの真ん中から、烏龍茶のピッチャーを取って私のグラスに注ぐ。

コップ一杯分も入らずに、ピッチャーは空っぽになった。


「やべえ、空じゃん。町田さーんボタン押してくれませんかー!」


佐田君が、呼び出しボタンの近くに座る町田さんに向かって叫ぶ。


「八王子君って物知りだねー!」

「そんなことないですよ」


けど、話が盛り上がっていて、聞こえていないみたい。

自分で行くには、席と壁の間が狭すぎる。

これなら自力で厨房へ行った方が早い気がする。


「佐田君、私代えてもらってくるね」