「さんきゅー!」
満面の笑みの佐田君を見て、私は片方の眉を下げる。
まったく……
トマト嫌いなんて、子供みたいなんだから……
皆に取り分けたあと、私も一息つこうとグラスに手を伸ばす。
明日も平日だし、二日連続お酒はちょっとな、
と思った私は今日は烏龍茶で通すことに決めた。
だけど……
「あれ………?」
なぜか私の前には烏龍茶が二つある。
誰かのが間違って私のところに来ちゃったのかな、と思っていると
「あ、それ俺の!」
佐田君が烏龍茶の入ったグラスの一つを取った。
「佐田君、今日は飲まないの?」
いつもは、ビールのジョッキを手に誰より笑っている佐田君。
お茶だけなんて珍しいな……

