アフター7の婚約者サマ!?



「な、いいだろ?頼むよ姫川ぁ…」


そんな私にお構いなしに、佐田くんは腕を引こうとする。


普段はチャラチャラしてるくせに、こういうときだけ子犬みたいな顔をするのは反則だと思う。


まるで私が佐田くんを見捨てようとしてるみたいじゃない……

ぐらぐら揺れる私の心に、甘える声でトドメの一撃。



「…お願い」



あぁ、もう。

敵わないなあ…………



「…わかったよ、行こう」

「やった~~!!」



ルンルンと音符マークを漂わせながら、佐田くんは階段を上り始める。

その後ろ姿を見つめ、小さく溜息をつくと、私も後に続いた。

佐田くんのバカ。

なんでそんなに、人を動かすのが上手なのよ。

おかげで私は入社してから振り回されっぱなしだよ…!

狭い階段を上って二階につくと、バーの古風な茶色のドアを開けた。



「いらっしゃいませ」



外見もお洒落なバーは中の雰囲気も良好だ。


洋風の席が並び、天井にはシャンデリア、棚には外国のお酒のボトル、テーブルにはガラス細工のお花が飾られている。