そういえば、なんだか疲れたな。
一日分の仕事をした後に、こんなに歩いたんだもん。
私もお酒飲みたい気分かも……
なんて思っていた矢先。
「な~、せっかくだから俺らも飲まねぇ?」
そう言って佐田くんが二階にある入り口を指差した。
「うん、それはいいんだけど。
でも同じお店で……?」
さすがにそれはバレてしまうんじゃ……
「遠くに座れば大丈夫だって~!
それに近くに他に飲めそうな店ないし」
「そんなキケンなことするくらいなら諦めようよ」
「バカ言え!
なんのために俺が今日ここに来たと思ってる!それは、美味い酒を飲むためだ!」
佐田くんはヘヘンと勝ち誇ったように胸にグーを当てている。
……そういうことか。
八王子さんの尾行にかこつけて、ほんとはただ飲みたかっただけなのね。
なんとも佐田くんらしいネタばらしに、私は大きなため息をついた。

