そう言って、スプーンの皿の部分を目の片方に当てる。
ルーペのつもりなんだろうけど、逆に見えなくなってる!
視力検査にしかならないよ…!
「あはは……」
今年24になる人間の行動ではない。
佐田くんはやっぱり厨二病だ。
そう思いながら、通りを歩く八王子さんの後ろ姿を見つめる。
彼が向かっていくのは、駅と反対の繁華街方面だ。
この辺にマンションとか住宅地はないし……
まっすぐ帰るとしたら、普通は駅に向かうよね……?
「…八王子さん、やっぱりどっか寄る気だな。ますます怪しい」
後ろでふざけている佐田くんも、考えてることは同じだったらしい。
「よし姫川、後をつけるぞ!!絶対ターゲットから目を離すなよ」
「はーい…」
佐田君の振る舞いは探偵ごっこ状態。
そんな彼に突っ込む気にもなれず、私はただ、八王子さんを追いかけた。

