「佐田くん、みんな見てるよ……///」
私はうつむいて、それを言うのがやっとだったのに。
「え?別に俺ら恋人いないんだから問題ないだろ?」
佐田くんはけろっと言い放った。
問題あるよ…!!
もし八王子さんに知られたら……!!
なんて。
たとえ私が誰と付き合っても、八王子さんは気にもしないだろうけど。
「おっ、ターゲットの八王子咲人が今会社を出ました!」
佐田くんがわざと廊下の棚の影から覗く仕草をした。
いつの間に佐田くんの手には何か握られている。
「スプーン?」
それは私達の部署にある、銀スプーンの大きめの奴だ。
「あぁ、これ何か探偵っぽくね?」

