嫌よも違うも好きのうち、部署にはそんな空気が流れていた。
私達は全然そんな関係じゃないのに………。
私と佐田君は部署で唯一の同期だ。
だから必然的に一緒に過ごす時間は長くなるし、仕事終わりに飲みに行くこともある。
佐田君は明るくて面白くて、一緒にいて楽しいって思う。
けれども恋仲というよりは、同士とか親友という言葉がしっくりくる関係なんだ。
「じゃあそういうことなんで、すみませんがお先しま~す」
佐田君はニカッと笑うと、私の手を引いて歩き出す。
って佐田くん!!……手!!!
私の手を掴んだまま、上機嫌にスキップしている。
まだ見える位置の部署を振り返ると、先輩達がこっちを見ながらニヤニヤと話している。
は、恥ずかしい……////

