咲人が足を止める。
何も言わない大きな背中に、おそるおそる話しかけた。
「……ごめん咲人…迷惑かけてごめん……。
恐かったの…一人になっちゃうのが……」
謝らなきゃいけないこんな状況でまで、自分の話をしてしまう自分が嫌だった。
でも、どうしても恐くて。咲人と離れるのが嫌で。
ガタガタと震えが止まらない私の肩を、咲人が掴んだ。彼は疲れたような困ったような笑みを浮かべていた。
「美香のこと、一人になんてしないよ」
「別れるくせに……?」
「うん」
迷うことなくそう答える咲人の気持ちがわからなかった。
だって別れるってことは、もう一緒にいれないってことでしょ?
もう私のこと好きじゃないんでしょ?
「意味わかんない!結局いつかは他の子を好きになって、その子のところに行っちゃうくせに!」
咲人の両腕に掴みかかって、うつむいて泣きじゃくる。
咲人は「誰もそんなこと言ってないだろ」とため息を零した。
「だから泣かないで、美香」
咲人は優しくそう言って、頭にポンと手を置いた。

