そのまま10時の休憩時間になって、私は席を立ち給湯室へ向かった。銀のカウンターの上のトレーに、部署のメンバー10数人のマグカップを並べ、アイスコーヒーを注ぐ。
うちの課に私より若い社員はいないから、お茶淹れは主に私の仕事。毎日10時と3時に淹れることになっている。
えーっと、ミルクと砂糖は佐田君と宮川さんで、町田さんはミルクだけ。砂糖の入ったガラスポットから、スプーンで佐田君のカップに入れている途中。
「姫川」
名前を呼ばれて振り返ると、入口に立っていたのは
「八王子さん……」
「コーヒー淹れ終わったら話したいことがあるからいいか?」
部長と話していたときと同じ浮かない顔でそう言った。私が頷くと「会議室で待ってるから」と言い残して、給湯室を出ていった。

