「ごめんな」と彼は繰り返して、ギュッと手を握る。
優しくて大きな手に、恐怖心が少しずつ解かれていく。
私の手の震えが止まるまで、ずっと握っていてくれたんだ。
八王子さんは全部話してくれたんだもん。
きっと言いたくないこともあったはずだけど、それでも話してくれた。
それにどっちにしろ、もうこのままじゃいられない。
八王子さんとずっと話せないままなんて嫌だもん。
だから私も覚悟を決めなきゃ。この現状から、前に進む覚悟を……。
ブラウスの胸元をぎゅっと押さえて、顔を上げる。
だけど見えた八王子さんの表情はー……。
「あのさ、悠里。
……待っていてくれないか?」
「待って…る……?」
思わず聞き返すと、八王子さんは頷いた。そしてまっすぐに私を見つめてくる。
「勝手なこと言ってるのはわかってる。
けど、どうしても待っていてほしいんだ」
覚悟を決めたような強い言葉に、心臓がドクンと鳴った。

