アフター7の婚約者サマ!?



驚きのあまり、失神してしまいそうになった。

頭を押さえ、やっと佐田くんを見つめると、彼は相変わらずニコニコと笑っているだけだ。


「俺ら同期で同じ課でいつも一緒にいるんだから、気づくに決まってんじゃん。

姫川はいっつも八王子さんを目で追ってるしね」

「…………っ」


気づかれていたなんて!!

元々、感情が表に出にくい私だから、あまり人にこういうことを気づかれた経験はない。

口に出さないように、態度に出さないようにと、日々神経を払ってきたことだもの。

それなのに、気づかれてしまっていた。

恐るべし、佐田君の洞察力。

なんて感心してる場合じゃない。


「だからさ、このこと八王子さんにバラされたくなかったらさ、

付き合ってくれるでしょ?尾行!」


裏だらけの爽やかな笑顔に、私は何も言い返せなかった。

こうして私と佐田君の八王子さん尾行計画が始まった。