そのまま美香の手を引いて走り出した。航平にも美香の彼氏にも呼ばれたが、足は止めなかった。
これ以上美香を苦しませない。何が何でも美香を守りたかったんだ。
夢中で走って、走って……どれくらいたっただろう。
「咲人……もう私、走れない……」
美香が息苦しそうに言って立ち止まった。その反動で俺の足も止まる。
とりあえず公園からは離れたから大丈夫だろう……。
辺りを見回すとそこは人気のない海岸。
仕方ないからすぐ近くにあった神社に足を踏み入れた。
崖の下の海から聞こえる微かな波の音。そして走って乱れた吐息しか聞こえない静寂……。
「…なん…で…」
「ん……?」
「なんで助けるのよ。
咲人には関係ないって言ったのに……」
うつむきながら美香が低い声で言った。それでも浴衣の袖から少し覗いてる手をグーにしたまま震えている。
美香の精一杯の強がり。だけど……。

