腕を掴んだまま呆然と立ち尽くしていると
「別に…咲人には関係ないでしょ……!」と美香は低い声で言って、俺から顔を反らした。
関係ないって……。
「そんなアザ見て、ほっとけるわけないだろ。
どうしたんだよ…誰にやられたんだよ…!」
「別になんともないって……」
「親か…友達か?」
「だからそんなんじゃない…」
「それとも彼氏か?」
「……っ」
"彼氏"という単語で、美香の肩がビクッと小さく揺れた。
うつむいたまま唇を噛みしめて震えている美香を見れば、一目瞭然だった。
彼氏か……。
美香に彼氏がいるのは、俺らの間では周知の事実だった。けれど……。
「そんな彼氏と付き合ってて楽しいか?」
友達として心配だったのか、男として泣いてる女を放っておけなかったのか。
それとも俺は既に美香に惚れていたのか、自分でもよくわからない。
自分の口から出たのはそんな言葉だった。怒りを抑えきれなかったんだ。

