「でさ~、俺いいこと思いついたんだけど」
「うん」
空返事で立ち尽くしてるあたしの肩に手を置いて、佐田君が覗き込んでくる。
目が合うと口角を上げて、ニカッと笑った。
「………確かめに行かない?」
「え……?」
確…かめる?
「この水曜日に、八王子さんが彼女と会ってるかどうか確かめに行くんだよ」
「……それって尾行ってこと!?」
「おうっ!なんか楽しそーじゃない?
探偵みたいでさ」
先程の探偵ポーズはやはり狙っていたのね。
子供みたいというか厨二病というか……
とにかく、佐田君は破天荒な人だ。
町田さんと違う意味で、恐れることをしない。
尾行してバレたらどうなるかという前に、目の前の好奇心が優先されてしまう。

