「今日は他に予定はないのか?」
「はい。遅いので書類届けたら、そのまま帰るつもりでした」
「あのさ」と八王子さんは切り出して。
「こんな状態で悪いけど……少しだけ、話を聞いてくれないか?」
話……って。
八王子さんが具合悪いのにとか、もう遅い時間なのにとか、いろいろ思いついたのに、気づけば私は返事していた。
「わかりました」
八王子さんの話。それがすごく大事なことのように思えて、頷いてしまったんだ。
「ありがとう」
ゆっくりと立ち上がると、リビングに戻っていく八王子さん。
履きかけた靴を脱いで、もう一度彼の家に上がった。
「座ってて。今…飲み物でも……」
「大丈夫ですから!八王子さんは今すぐ布団入ってください」
八王子さんの背中をベットの方にぐいぐい押して、半ば強引に横にならせる。そして足元の布団を首までかけて、私はベットの横に座った。
「具合悪いときくらい、気を遣わなくてもいいんです。
話なら…ここで聞きますから」

