パタパタと横を通り過ぎ、ドアの取っ手に手をかけ、振り返らずに言った。
「何があってもちゃんと約束だけは守ってよね!
破ったら、許さないから」
「……あぁ」
八王子さんが答えると、バタンと扉が閉ざされて、彼女の姿は見えなくなった。
その途端……
ズサッー…!
壁に手をついたまま、八王子さんが床に崩れ落ちる。
「八王子さん!」
慌ててその腕を掴むと、八王子さんは手でそれを制止する。
「平気だから。それより姫川、スマホ……」
八王子さんの言葉で、私のスマホが着信していることに気が付いた。
急いでボタンを押すと、相手は書類を持っていくことになっていた取引先だった。

