アフター7の婚約者サマ!?


「……っう」

掴んだ手が離れ、ガンッと壁に手をついたような音がする。

苦しそうな息遣いだけが、狭い玄関に響いていた。


無理して追いかけてきてくれたのに。

それでも、振り返るわけにはいかない。


「ごめんなさい……」


だって、こんな顔見せられない。

泣いちゃダメってわかっていても、涙が止まらない。

迷惑かけちゃう。見せられないよ、こんな顔……。


立ち尽くしたままうつむいていると、キィィと扉の金属音が聞こえた。

「咲人……」

美香さんの声のトーンは低く、そして震えていた。


「ねぇ、咲人。どうして姫川ちゃんなの?私じゃダメなの……?」

「美香……。俺はもうお前をそういう風に見れない、ごめん」