「姫川、ありがとな。
じゃあ……これを」
微笑しながら、書類を手渡してくる。
「任せてください」
笑い返して書類を取り、署名とハンコを確認すると、最初に書類を入れてきたクリアファイルに入れて
あとはこれを相手方に届けるだけ。部屋の掛け時計を見ると、時刻は8時ちょっと前。時間も遅いし早く行かなきゃ……。
本当は心配で仕方ないけど、仕事は仕事だもん。
「じゃあ私はこれで失礼しますね」
そう言って鞄を持って立ち上がった、そのとき。
ピーンポーンとタイミング良くチャイムが鳴り、八王子さんがフラフラとした足取りで横を通り過ぎる。
「はい」
八王子さんが応答する。インターホンの画面に小柄でモデルさんのような可愛らしい人が映った。
見覚えのある姿に、思わずハッとなる。
この人、美香さんだ……!

