アフター7の婚約者サマ!?


八王子さんの靴の隣に靴をそろえ家に上がる。扉を開けると、八王子さんは、部屋着で頭を押さえながらベッドに座っていた。


「姫川…すまないな」


いつのより低い声で言って顔を上げると、顔色が思ったよりずっと悪く、瞳は潤んでいた。


「書類…今書くから」

立ち上がろうとした八王子さんの体がグラッとなって、慌てて駆け寄って、腕を支えた。

「大丈夫ですか!?無理しないでください」

「……わる、い」

ゆっくりと八王子さんをカーペットに座らせる。

パーカーを着ているのに、それでも私が掴んだ腕に体温が伝わってくる。

熱……高いんだ。

黒いテーブルに書類とペン、朱肉を並べ、座っている八王子さんの肩を支えた。

書類を書くのもやっと状態……。


「八王子さん……」


心配でいてもたってられない気持ちで見守っていると。書類を書き終え、ボールペンをカチッと閉め、八王子さんが顔を上げた。