八王子さんが許可してくれたら、明日以降にしてほしいということを伝えようと思っていた。
けれど……。
『そういうわけには、いかないだろう。今から…行くから』
「え…っでも……!」
電話でもわかるくらいに息を乱して、苦しそうなのに……。
『それがないと…向こうが困るんだろ。
俺は大丈夫だから……一時間位で、行くって伝えてくれ』
八王子さんは来ると言って、聞いてはくれなかった。
「八王子さん……今、熱どれくらいあるんですか?」
『え……?
さっき測ったときで40度……』
「うそ……!」
思わず声に出てしまった。佐田君も部署のメンバーも一瞬こちらを見たから、ふと我に返った。
『情けないよな…ケホッゲホッ』
「笑ってる場合じゃありません……」
『笑って…ねーよ』

