車内でも、八王子さんと目を合わすことができなくて、時々視線だけで横顔を見ていた。
Yシャツの袖で髪をぬぐい、はーっと息を零す彼。
姿を目に入れるたび、視界がぼやけてしまう。
隣にいても何も言えなくて。この距離が遠いと感じるなんて、それが当たり前だったあの頃から、私は贅沢になってしまった。
この距離を作ってしまったのは私なのに。今が神様からの罰なのか、なんて考えてしまうくらいに……。
「……っ」
声を殺して、唇を噛みしめながらうつむいた。
そのときの私は、泣いているのを気づかれたくないのに必死で。
八王子さんの吐息が不規則になってることも、顔が青ざめてることも、その異変の一つにも、気づくことができなかったんだ……。

