アフター7の婚約者サマ!?


車内でも、八王子さんと目を合わすことができなくて、時々視線だけで横顔を見ていた。

Yシャツの袖で髪をぬぐい、はーっと息を零す彼。

姿を目に入れるたび、視界がぼやけてしまう。

隣にいても何も言えなくて。この距離が遠いと感じるなんて、それが当たり前だったあの頃から、私は贅沢になってしまった。

この距離を作ってしまったのは私なのに。今が神様からの罰なのか、なんて考えてしまうくらいに……。

「……っ」

声を殺して、唇を噛みしめながらうつむいた。


そのときの私は、泣いているのを気づかれたくないのに必死で。

八王子さんの吐息が不規則になってることも、顔が青ざめてることも、その異変の一つにも、気づくことができなかったんだ……。