アフター7の婚約者サマ!?


「いいからこっち使っとけ。鞄に入ってたから、まだ使えるだろ」

手渡された青と紫のアーガイルのハンカチ。


「……すみません、ありがとうございます」

前髪に当てると、雨の匂いに混じって、柔軟剤のいい匂いがした。

八王子さんだって、すごい濡れたのに……。

そういう気づかいや優しさはどんなときでも変わらない。


静かな公園に、ザーザーと雨の音だけが響いている。

斜め上に視線を向けると、髪から水を滴らせたまま、遠くを見つめている八王子さん。

憂いを帯びた瞳と、濡れた髪がなんだか色っぽい。

ほんの少しだけYシャツの肘と肘が触れあっている。

こんなに近くにいるのに、心の距離はすごく遠いんだ……。


今から振られちゃったとして、これ以上に距離が離れてしまうのかな。

そう思うと、話を切り出そうとしても体が震えて、声が出てこない。

どうしよう……。

悩んでいた矢先、ふいに頭にバサッと何かをかけられる。