「いいからこっち使っとけ。鞄に入ってたから、まだ使えるだろ」
手渡された青と紫のアーガイルのハンカチ。
「……すみません、ありがとうございます」
前髪に当てると、雨の匂いに混じって、柔軟剤のいい匂いがした。
八王子さんだって、すごい濡れたのに……。
そういう気づかいや優しさはどんなときでも変わらない。
静かな公園に、ザーザーと雨の音だけが響いている。
斜め上に視線を向けると、髪から水を滴らせたまま、遠くを見つめている八王子さん。
憂いを帯びた瞳と、濡れた髪がなんだか色っぽい。
ほんの少しだけYシャツの肘と肘が触れあっている。
こんなに近くにいるのに、心の距離はすごく遠いんだ……。
今から振られちゃったとして、これ以上に距離が離れてしまうのかな。
そう思うと、話を切り出そうとしても体が震えて、声が出てこない。
どうしよう……。
悩んでいた矢先、ふいに頭にバサッと何かをかけられる。

