八王子さんが提案したのは、最寄駅の中にある喫茶店だった。
「わかりました」と頷き、八王子さんの後に続いて歩いていると。
ふいに、ポツリ―と頬に冷たいものを感じたと思うと、急に雨がザーザーと降り始める。
「うそ……!」
ちょっと前までは青空で、いいお天気だったのに……!
ちょうど大きな公園の横を歩いていたため、近くには建物はない。
「強くなってきたな。
弱くなるまで雨宿りしたほうがいい」
八王子さんが公園の屋根付きのベンチを指さし、私達はその下へ急いだ。
「濡れちゃいましたね……」
髪を触ると水滴が手につく。けれども、それさえ気にならないくらいスーツも鞄もビショビショだった。
「風邪ひくから拭いとけ」
そう言って、八王子さんがハンカチを差し出してくる。
「大丈夫です…!私も持ってますから。
八王子さんも拭いたほういいですよ」
慌てて、スーツのポケットからハンカチを取り出すけど。
「あ……」
ハンカチまで水が染みて、使い物にならない状態だった。

