「姫川、今日が終わったら話そう。
それまで、ちゃんと仕事できるか?」
「はい」
「ありがとう。じゃあ後でな」
ほんの少しだけど、八王子さんの目が細められる。
作り笑いかどうかはわからないけど、彼が笑うのを見たのは久々な気がした。
八王子さんの話……どんなことを言われるかはわからない。
けれども私は謝らなくちゃならない。告白して八王子さんを困らせてしまったんだから……。
そしてせめて昔と同じ、上司と部下の関係に戻れたら……なんて。
そんなこと本当は望んでないくせに……。
午後のスケジュールは、実際に服を見せてもらい、載せるものを検討することだった。
「夏なのに、もう冬物なんですね……!」
クローゼットには、ダッフルに、チェスター、ドーリーコートなど、様々並んでいる。
「そうよ。現場ではもう次の春の話も出ているくらい。夏なのに毎日コートばっかり見てるのも暑苦しいわよね」
苦笑いしながら、デザイナーさんがかかっている白いコートを手に取った。
「でも、あなたも秋になったらこういうの着たくなるでしょ?」
そう言って、私を鏡の前に立たせ、コートを合わせてくれる。
わ……。
「かわいい……!」

