そんなことされたら……。
「八王子さん……」
夢中で、八王子さんのジャケットの背中を掴んでいた。
「悠里?」
「……好き」
抑えきれなかった。
「八王子さんが好き…です」
想いが溢れて、止まらなくなって……。
「……っ!」
グイと引かれた腕とともに、私は八王子さんの胸に体を預けていた。
「ありがとう」
優しくて、切なげな声が聞こえた。
私の存在を確かめるように、肩を抱く手に力がこもる。
八王子さん……。
彼はそれ以上何も言わなかった。
いや、言えなかったかもしれない。
私を離そうとしない彼の手は…ひどく震えていたから……。

