「本当に好き……か」
そう言って、八王子さんはわずかに目を伏せると
「俺は好きじゃなかったのかな…」
自らを嘲笑うかのような笑みを浮かべていた。
「八王子…さん?」
「…なんでもない。ほら、注文決まったか?」
八王子さんがメニューに視線を落とすのを見て、私は慌ててページをめくる。
「私…オムライスにしますっ」
「了解」
ウェイターさんを呼び止め、テキパキと注文していく八王子さんを見つめながら…ふと思う。
八王子さん……。
前に美香さんの言葉に真っ青になっていたときと、同じような顔をしてた。
悲しくて辛そうなあの表情を……
「悠里?どうしたんだ?」
「…あの、八王子さん」
「何だ?」
「やっぱり…何でもないです」
聞けないよ。
どうしても…どうしても……。

