「さっきの映画…私に合わせてくれてありがとうございます」
「気にするな。俺も面白いって思ったからさ」
八王子さんは目を閉じたまま笑うと、グラスの水を口に運んでいた。
「良かったです。私…感動してすごく泣いちゃいました」
「あぁ。ばっちり見てたよ」
「……っ!」
気づかなかった…!
泣きすぎて絶対変な顔してたよ…!
今更恥ずかしくなって手で顔を隠している私を見て、八王子さんはクスッと微笑む。
また笑われてる……。
「でも、女の子なら絶対泣きますよ。あんなに一途に思われてたら」
「俺もあの彼氏はすごいなって思った。
一度は他の男を好きになった彼女を許せるんだからな」
八王子さんは頬づえをついて、外の海を見つめながら言った。
「きっと、彼女のことが本当に好きだったんでしょうね」

