町田さんのこと、八王子さんがどう思ってるかはわからない。
けれど。
部署のメンバーは全員、彼女の八王子さんへの好意に気づいている。
だから、町田さんが八王子さんを狙ってるから手を出すな、
というのがうちの部署での暗黙の了解なのだ。
それでも、相手はうちの会社で一番かっこよくて出世頭な八王子さん。
密かに彼を狙う女子はごまんといるだろう。
その一人である私も、八王子さんの飲み会の出欠をドキドキしながら待っている。
彼の返答が今夜の女子社員のテンションを左右する、といっても過言ではないのだ。
チラチラと女子達が期待の視線を向ける中、八王子さんは、スーツの肩に触れる町田さんの巻き髪をうっとうしそうに睨んだ。
「……すみません。水曜日はちょっと用事があるので行けないです」
淡々と言い放つと、八王子さんは再びパソコンに戻った。

