辺りを見回すと…八王子さんの姿はまだない…。
代わりに黒い車が一台停まっている。
セダン型のその車は新車なのか、車体に日の光が差して輝いて見える。
八王子さん…まだかな…
ぽけーっと玄関に立ち尽くしていると、ふいに車の窓ガラスが空いて。
中の人がこっちを見て手を挙げている…って、
あの人…八王子さん!?
パタパタとエントランスの自動ドアをくぐると、車の運転席に座っているのは、やっぱり八王子さんだった。
「おはよう。ぼーっと突っ立って、まだ目ぇ覚めてないのか?」
座席から身を乗り出し、クスッと笑う八王子さん。
「ち、違います…!まさか…八王子さん車で来ると思ってなくて…」
「あぁ、最近買ったばっかりなんだ。
もう誰かさん達に後つけられたくないからな」
「……っ!」
それって私と佐田君のこと…!?

