アフター7の婚約者サマ!?



人の流れが止み、そろそろドアも閉まるかというとき、佐田君がトンッと私の背中を押した。

「…っ」

よろけて私は電車の中に入ってしまう。顔を上げると、佐田君は真っ直ぐな瞳で私を見つめていた。

あまりにも真剣な瞳に、ドキッとなった。


「佐田君…」

「負けねえ…」

「え?」


「あの人には絶対負けねえ…。姫川…俺は…お前を…」


佐田君の言葉の途中にドアが閉まり、「発車します」とアナウンスが流れた。

次第に窓の景色が流れ、佐田君の姿が小さくなっていく。

それでも電車が走っていく方向を、彼の視線が逸らすことはなかった…


佐田君……。

今、なんて言おうとしたの?


電車の中で一人、熱くなった顔を手で隠した。


熱い瞳が残像となって頭から消えてくれない。


佐田君のこと…会社で一番仲がいい友達だと思ってたし、佐田君もそう思ってくれてるって思ってた。

だけど…

”姫川…俺は…お前を…”

勘違いしそうになるよ。


あのときの瞳は…まるで好きな人を見ているかのようだったから……。