そして次に黒に着替えた。
普段はあまり着ることのない色…
「こちらは大人っぽくて素敵ですね!よく似合ってますよ」
店員さんがニコリと笑った。
「ありがとうございます…っ」
鏡に映る全身を眺めると、なんだか私でないみたい。
大人っぽいというか
落ち着いて見えるというか…。
でも
「黒にしようかな…!」
気持ちが傾いてる。
年上の婚約者とデート。
しかも相手は八王子さんだもん。
大人っぽいデートになるに決まってる!
「俺は水色の方が似合ってると思うけどな」
後ろにいた佐田君が呟くのが聞こえた。でも声は聞き取れないほど小さくて。
「えっ?なんて言ったの?」
思わず問いかけると
「何でもない!ほら、店員さん待ってるぞ」
「えっあ…うん」
佐田君に背中を押されて、バタバタとレジへ向かった。
佐田君、今なんて言ったんだろう……?

