お産が済んだと思ったのは間違いでした。

もう1人、赤ちゃんが産まれようとしていたのです。



奥さん含め、そこに居た全ての人が、悲鳴と奇声をあげました。


誰もが、産まれて欲しくないと、強く思いました。



“同じものが2つあってはならない”
という言い伝えがあるこの村では、双子の誕生は禁忌だったのです。


しかし、目の前で産まれようとしている命を、殺せる者は誰も居ません。


何より、そんなことをすれば、この奥さんの命も危ない…



そうして誕生したのもまた、女の子でした。