崩れた化粧の上からファンデーションを重ねた。 なんかもうごまかしも効かないけど。 とりあえず、帰る準備は整った。 「広重。私、帰るね」 「えっ?もっとゆっくりしていけばいいのに」 「予定あるの」と嘘を吐く。 「またまた」 「じゃあ月曜日に」 手をかけたドアノブの上から掴まれて止められたら。 「千花さん。待って」 「……広重。昨日の夜一緒に過ごしたんだから。もういいでしょ?」 「えっ?」 「広重の思い通りになったんだから。いいでしょ?これからは2人でご飯も食べに行かないから」