「おーい、遼…っていねぇし」


いつもいる空き教室にもいねぇし、本当にどこにいんだよ。


「う…だよ!」


ん?声?


ここは南館の端の廊下。


右は教室だ。


ここはさっき誰もいないのを確認している。


ということは…教室のお向かいにある中庭か。


あまり人はこねぇところなのに珍しいな。


そんな好奇心から中庭を覗くと、そこには驚くべき光景が広がっていた。


「なっ!」


お腹を抑えている星川がいた。


よく見ると、星川の近くにはニヤニヤと笑うと男と女がいる。


あいつらか…っ。


原因はわかってる。


きっと、星川が希姫になったからだ。


だからと言って、星川に危害を加えていいもんじゃねぇ。


文句は俺らに言えばいいものを。


それすら出来ず、暴力に頼るのはいけ好かねぇ。